新型コロナウイルス感染症に対する政府の緊急経済対策とは、どのようなものがあるのでしょう?用意された経済対策は各省庁でそれぞれ管理されているため、分かりにくい印象があります。そこで、緊急経済対策が私たちの生活にどのように関わってくるのか、分かりやすくチェックリストにまとめました。

※『新型コロナウイルス緊急経済対策とは?事業者向けチェックリスト』では、【経産省の持続化給付金】と【各種助成金】、貸付など、事業者に向けた緊急経済対策について詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の概要とは?

個人に向けた新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策は、大きく分けて主につぎの3つです。

1) 給付金がもらえる
2) 税金や保険料の支払いを猶予または減免してもらえる
3) お金を貸付してもらえる

上の3つ以外に各自治体独自の支援策もありますので、お住まいの自治体へ問い合わせてみましょう。

1) 給付金がもらえる

給付金は困ったら最優先で申請しましょう。
給付金は誰でももらえるものや自営業者に向けたものなど、それぞれで該当者が異なります。
こちらでは、お勤めの方でももらえる給付金を紹介しています。
事業者向け、フリーランスの方への給付金については、『新型コロナウイルス緊急経済対策とは?事業者向けチェックリスト』をご覧ください。

お勤めの方でももらえる給付金は、つぎの4つがあります。


① 10万円の特別定額給付金
② 厚労省の傷病手当金
③ 内閣府の子育て世帯への臨時特別給付金
④ 住居確保給付金


① 10万円の特別定額給付金

◆ 特別定額給付金とは?

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、迅速かつ的確に家計への支援を行うために政府が給付するもので、1人当たり10万円が給付されます。担当は総務省です。

◆ 特別定額給付金の対象者は?

特別定額給付金の給付対象者となるのは、基準日である2020年(令和2年)4月27日において、住民基本台帳に記録されている方です。老いも若きも、所得の格差も関係ありません。年金受給世帯や、失業保険受給世帯、生活保護の被保護者などに関わらず、すべての人が支給対象となります。

ただし、自己申告制です。申請した者にのみ給付されます。給付を受けたい方は必ず忘れずに申請しましょう。

◆ 特別定額給付金の申請はいつからいつまで?

2020年5月1日から受付がスタートしました。申請期限は、郵送方式の申請受付開始日から3ヶ月以内で、受付開始日は各市町村によって異なります。詳しくはお住まいの市町村へお問い合わせください。

◆ 特別定額給付金の申請方法は?

総務省には特別定額給付金の特設サイトが開設されています。

特別定額給付金特設サイト⇒ https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/index.html

申請の方法は2つで、どちらも費用などかかりません。

・オンラインで申請する
・郵送で申請する

◆ オンラインで申請する

オンラインの申請は郵送されてくる書類を待たずにできますが、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードをまだ取得していない方は、こちらに取得方法が詳しく掲載されています。

総務省のマイナンバーカード取得方法サイト⇒ https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/flow/mnp-get/

◆ 郵送で申請する

郵送での申請は、受給権者宛に市区町村から申請書が郵送されてきます。特別定額給付金の受給は自己申告制ではありますが、こちらから先にアクションを起こすものではありませんので、注意が必要です。

申請書が届いたら振込先口座を記入し、振込先口座の確認書類と本人確認書類の写しとともに市区町村へ郵送します。

★注意! 電話やメールは詐欺に可能性

申請書が届く前に、各市町村から電話がかかってきたり、メールが送られてきたりすることはありません。もしも各市町村を名乗る特別定額給付金についての電話やメールがあったら、詐欺の可能性がありますので注意が必要です。怪しいと感じたらすぐに警察相談専用電話「#9110」に相談しましょう。

◆ 特別定額給付金の問い合わせ先は?

特別定額給付金コールセンター 0120-260020
対応時間 9:00~18:30(フリーダイヤル)

② 厚労省の傷病手当金

新型コロナウイルスに感染し、仕事ができなくなってしまった場合には、健康保険制度や健康保険組合、国民健康保険に加入している場合、傷病手当金を受け取ることができます。

◆ 傷病手当金の支給要件は?

労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間

◆ 傷病手当金は自宅療養でも支給されるの?

入院した期間だけでなく自宅療養などの場合も、医師の意見書などがあれば手当が支給されます。

細かなケースについてはこちらの厚労省のQ&Aをご覧ください。
⇒ https://www.mhlw.go.jp/content/000604969.pdf

◆ 傷病手当金の支給額は?

直近の継続した3ヵ月間の給与収入の合計額を就労日数で除した金額 × 2/3 × 日数

◆ 傷病手当金の対象期間はいつからいつまで?

2020年1月1日~9月30日の間で療養のため労務に服することができない期間
(ただし、入院が継続する場合等は健康保険と同様、最長1年6ヵ月まで)

◆ 傷病手当金支給申請方法は?

◎協会健保の場合

協会健保の場合の健康保険傷病手当金支給申請書は、こちらからダウンロードできます。

⇒ https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r124/

◎国民健康保険の場合

国民健康保険の場合は、各市町村の管轄となり、すでに2020年5月7日より申請の受付を開始している自治体もあります。

⇒ 兵庫県宍粟市のサイト https://www.city.shiso.lg.jp/kurashi/hokennenkin/10194.html

詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

③ 子育て世帯への臨時特別給付金

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世帯の生活を支援する取組の一つとして、児童手当を受給する世帯に対し、臨時特別の給付金が支給されます。

◆ 子育て世帯への臨時特別給付金の給付額は?

対象児童一人につき1万円

◆ 子育て世帯への臨時特別給付金の対象世帯は?

児童手当の受給対象となっている0歳~中学生のいる世帯

◆ 子育て世帯への臨時特別給付金の申請方法は?

お住まいの市区町村から、子育て世帯への臨時特別給付金の案内チラシと、希望しない場合等の届出書が送付されてきますので、給付を希望しない限りは特別な申請を行う必要はありません。児童手当登録銀行口座等へ振込があります。

④ 住居確保給付金】

休業等に伴う収入の減少により、住居を失うおそれが生じている場合は、原則3ヶ月、最大9ヶ月、家賃相当額を自治体から家主さんに支給してもらうことができます。こちらの場合は、ほかの給付金と違って本人の銀行へ振込まれるのではなく、直接家主さんへ支給されます。

◆ 住居確保給付金の対象者は?

離職・廃業から2年以内または休業等により収入が減少し、住居を失うおそれがある方

※ これまで要件であったハローワークへの求職申込みが不要になりました。

◆ 住居確保給付金の申し込み先は?

各地区の自立相談支援機関 ⇒ https://www.mhlw.go.jp/content/000614516.pdf

2) 税金、保険料、公共料金などの減免や猶予

税金や保険料の支払いを免除できたり、免除まではいかなくとも減額することができたりすれば、支出を減らすことができます。そのため給付のつぎに優先して検討してほしい項目です。とくに年金保険料の納付免除は所得見込の金額によっては全額免除が可能なため、まず減収した月収の計算からはじめてみましょう。

つぎに検討したいのは、猶予です。税金や厚生年金保険料は、支払いを猶予してもらうことが可能です。こちらは1年先に先延ばしになるだけで、支払いがなくなるわけはありませんので注意が必要。ただ、今は現金を少しでも手元に残しておきたいという方は、検討してみましょう。

【年金保険料の納付免除】

新型コロナウイルスの感染症の影響により、収入源となる業務の喪失や売り上げの減少などが生じ、収入が相当程度まで下がった場合は、臨時特例措置として収入に応じ年金保険料の納付が全額免除される場合があります。

2020年の年収が確定していない現在においても、本人申告の所得見込額を用いた簡易な手続きにより、国民年金保険料免除の手続きが可能になりました。

◆ 年金保険料免除の対象となる要件は?

以下の2点をいずれも満たした方が対象になります。

(1)令和2年2月以降に、新型コロナウイルスの感染症の影響により収入が減少したこと
(2)令和2年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること

そのうえで、全額免除となる要件は、つぎの手順で計算します。

① 2020年(令和2年)2月以降から申請月のうち収入が減少した任意の月の収入額(減収後の額が最も低い月など)を12か月分(年額)に換算し、これを所得見込み額とします。

② 本人・配偶者・世帯主の所得見込額がいずれも以下の計算式で計算した金額以下であること

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

例:単身世帯の場合:57万円
夫婦のみの世帯の場合:92万円

これ以上の収入のある方は、全額免除とはならず、条件によっては半額や4分の3免除などになりますので、詳しくはのちほど紹介する年金機構のサイトをご覧ください。

◆ 年金保険料免除の対象期間はいつから?

2020年(令和2年)2月分以降の国民年金保険料が対象

◆年金保険料免除の対象期間はいつから?

2020年(令和2年)5月1日から

◆ 年金保険料免除の申請方法は?

申請書を必要な添付書類とともに、住民登録をしている市(区)役所・町村役場または年金事務所へ郵送

申請書のダウンロードは日本年金機構から
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/0430.html

▽ 納税と厚生年金保険料の猶予

昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの事業者の収入が急減しているという状況を踏まえ、2月以降、無担保かつ延滞税なしで納税と厚生年金保険料が1年間猶予されます。

◆ 猶予の期間は?

1年間

◆ 猶予の担保は?

担保は不要

◆ 猶予の延滞金は?

免除

◆ 納税特例の問い合わせ先は?

https://www.mof.go.jp/tax_policy/brochure1.pdf

◆ 厚生年金保険料の猶予の問い合わせ先は?

厚生年金保険料納付猶予相談窓口
0570-666-228(ナビダイヤル)

月~金曜日 午前9時から午後5時まで
※050で始まる電話ではご利用いただけません。一般電話もしくは携帯電話にておかけください。

https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000626844.pdf

▽ 公共料金の支払い猶予

◎電気、ガス、電話は1か月延長ばかりで、役立ちません。

◎水道は東京都や横浜市などは最長4か月支払い延長してくれる市町村があるようです。水道を多く使うところによっては役立つのでしょうか。

3) お金を貸してもらえる

生活福祉資金貸付制度は、返済1年間据置で無利子無担保など良い条件ではあるため、民間の金融機関などから貸付を受けたり、キャッシングしたりするよりはかなり有利です。そのためどうしてもお金が必要な際は、まずは生活福祉資金貸付制度を第1候補としましょう。

今回の特例措置では新たに、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができることとしています。しかし、借金であることに変わりはありません。その時の経済状態によっては支払いの義務が生じます。

まずはこれまで紹介してきた給付金や傷病手当、支払いの猶予で対策することをおすすめします。貸付は最終手段と考えましょう。

【厚労省と各都道府県労働局の生活福祉資金貸付制度】

生活福祉資金貸付制度は休業や失業などで困窮した場合の貸付制度です。当座の生活費20万円の緊急小口資金と、月20万円で最長3か月間の最大60万円の貸付が受けられる総合支援資金の2タイプがあります。

◎緊急小口資金

おもに休業された方に向けた、一時的な資金の貸付です。

◆緊急小口資金の貸付上限は?

貸付上限額20万円以内

◆緊急小口資金の対象者は?

新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯

◆緊急小口資金の据置期間は?

1年以内

◆緊急小口資金の償還期限は?

2年以内

◆緊急小口資金の貸付利子・保証人は?

無利子・不要

◆緊急小口資金の申込先は?

市区町村社会福祉協議会又はお住まいの都道府県内の労働金庫

◎総合支援資金

主に失業された方などに向けた、生活再建までの間に必要な生活費用の貸付です。

◆総合支援資金の貸付上限は?

・(2人以上)月20万円以内
・(単身) 月15万円以内

◆総合支援資金の貸付期間は?

原則3月以内

◆総合支援資金の対象者は?

新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯

◆総合支援資金の据置期間は?

1年以内

◆総合支援資金の償還期限は?

10年以内

◆総合支援資金の貸付利子・保証人は?

無利子・不要

◆総合支援資金の申込先は?

市区町村社会福祉協議会


https://www.mhlw.go.jp/content/000626608.pdf

そのほか、
・各都道府県社会福祉協議会の生活福祉資金貸付
・日本特別金融公庫の特別貸付
などでも貸付を行っています。

▽ 給付金と免除を有効活用しよう

新型コロナウイルスという未曾有の事態に立ち向かうべく、政府は経済対策を打ち出しています。まずは3つの給付金と年金保険料の支払い免除などをフルに活用することで、少しでも収入を増やし、支出を抑えましょう。つぎに年金や厚生年金保険労、公共料金などの支払い猶予を活用することで、支出を先延ばしにして直近での支出を抑えましょう。

最終手段は貸付ですが、同じ借りるなら生活福祉資金貸付制度を利用することで、最大で80万円を借りることができます。生活再建の糧としながら、新型コロナウイルスによる経済的危機を乗り越えていきましょう。