LLP(友人同士)

LLP運営編
LLPで計上する経費の範囲を予め合意しておく

気のあった友人同士でビジネスを行うことは、やりがいがあり、とても楽しいと思います。まさに苦楽を共にする覚悟で臨むこととなりますが、 経費の計上については注意が必要です。同族会社の場合は経営者とオーナーが同一のため、節税を目的として極力支出するものを経費化できないか考えると思いますが、 共同事業の場合はそうはいきません。一方のLLP構成員が多額の支出をLLPの経費にしようとすると、当然他方のLLP構成員は文句を言います。

経費になれば、構成員課税とはいえ課税される利益が少なくなるからいいのか?というとそうはいきません。多額の支出をしたLLP構成員は、 その分何らかの便益を享受しているので満足なのですが、他方のLLP構成員は組織内の資産(現預金)が減少してしまっては、 いくら経費計上できて課税所得が抑えられるからといっても納得できるものではありません。

もしLLP構成員が法人であれば、LLPの会計処理内で経費化できなかったものでも、法人側で経費化できるかもしれませんが、 個人構成員の場合は、個人側で経費化することが難しいため、 個人事業又は同族会社であれば経費化できたものが、経費化できないケースも生じてきます。 予め不公平の生じないように、交際費、研修費、福利厚生費等の考え方を話し合っておくと良いでしょう。

友人間だからこそ、解散又は脱退に関する事項をLLP契約書に!

だれも事業を開始するときに、失敗したときのこと、構成員間の関係が壊れた場合のことなどを考えないものです。 株式会社や有限会社の会社組織でも同じような事は起こりえますが、共同経営と内部自治が尊重されているLLPにおいては、 ”万が一”の時の取り決めをしっかりと考えておくことが特に重要です。

会社組織の場合は最終的には、過半数の株式・出資金を握っている株主の意思が通るケースが多いと思いますが、LLPの場合は過半数の出資を行っていようと、 利益分配割合が50%超であろうと、他の構成員の反対により、全く身動きが取れなくなることも考えられますので、 重大な意見の対立が生じた場合の意思決定方法や解散又は脱退に関する事項を取り決めておくことが大切です。

ビジネス以外の人間関係が入ってくる友人間では、特に気をつけましょう。

以上、「LLPに関する40の質問と40の答え」(経済産業省 産業組織課)より抜粋