持続化給付金の給付対象が拡大になりましたが、具体的な対象者が分かりにくいため、給付申請できていない人も多いようです。そこで今回は、持続化給付金の給付対象がどの人々に対して拡大になったのか。どういった条件を満たしていれば、給付を受けることができるのか、どこよりも詳しく解説します。
最後に分かりやすくチェックリストにまとめますので、自身が給付対象に当てはまるかどうか、チェックしてみましょう。
1)持続化給付金の給付対象が拡大になった2つの対象者とは?
今回2020年6月29日より、つぎの2つの対象者が新たに給付対象に加わりました。
・雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者
・2020年1月~3月の間に創業した事業者
それぞれについて詳しく解説していきます。
2)雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者とは?
雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者って具体的にどんな人?
持続化給付金申請要領には、「雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者」のことが以下のように記載されています。
(1)雇用契約によらない業務委託契約等に基づく収入であって、雑所得・給与所得として計上されるものを主たる収入として得ており、今後も事業継続する意思がある(※確定申告で事業収入あり⇒現行制度で申請)
(2)今年の対象月の収入が昨年の月平均収入と比べて50%以上減少している
(3)2019年以前から、被雇用者又は被扶養者ではない
フリーランスを含む個人事業者の確定申告は、おもに2つです。「事業所得」として申告する人と、「雑所得または給与所得」として申告する人です。事業所得として申告する人は、これまでも申請の対象となっていました。
今回2020年6月29日より新たに、確定申告を「雑所得」や、「給与所得」として行った個人事業者も対象に加わりました。「雑所得または給与所得」として申告している人とは、雇用契約ではなく、業務委託契約等に基づく事業活動からの収入がある人です。
◇書類で確定申告をおこなった場合
2019年の確定申告を書類でおこなった場合には、つぎの2つが必要になります。
・確定申告書別表一の控え(1枚)
・法人事業概況説明書の控え(2枚)
【ポイント】 「雑所得または給与所得」として申告している人の職業は?
・音楽教室や学習塾の講師
・フリーのエンジニアやプログラマー、WEBデザイナー、イラストレーター、ライター
・化粧品や飲料などの集金業務を委託されている人 など
これにより、令和元年(2019年)に確定申告を行っているフリーランスを含む個人事業者のほとんどが、給付対象となります。
雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者に必要な書類は?
つまり、令和元年(2019年)に収入があり、令和2年(2020年)に新型コロナウイルスの影響で収入が下がった事業者であっても、令和元年(2019年)の確定申告を行っていない事業者は対象外となります。
雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者に必要な書類は、つぎのとおりです。
(1)前年分の確定申告書
(2)今年の対象月の収入が分かる書類(売上台帳等)
(3)(1)の収入が、業務委託契約等の事業活動からであることを示す書類
(4)国民健康保険証の写し
(5)振込先口座通帳の写し、本人確認書類の写し
【ポイント】 前年分の確定申告書の収入が業務委託契約等の事業活動からであることを示す書類についてさらに詳しく
前年分の確定申告書の収入が業務委託契約等の事業活動からであることを示す書類とは、具体的んはどのような書類があればいいのでしょうか?具体的にはつぎの3つのうち、いずれか2つになります。
①業務委託等の契約書の写し又は契約があったことを示す申立書
②支払者が発行した支払調書又は源泉徴収票
③支払があったことを示す通帳の写し
②の源泉徴収票の場合は①との組合せが必須となるため、気をつけましょう。
3)2020年1月~3月の間に創業した事業者とは?
2020年1月~3月の間に創業した事業者とは、どんな人?
2020年1月~3月の間に創業した事業者も特例として、今回2020年6月29日より新たに、申請対象となりました。この特例はCと呼ばれています。
特例Cに当てはまる人は、つぎの条件のどれか1つを満たしている人です。
・所轄の税務署へ開業日が2020年1月1日から3月31日までの「個人事業の開業・廃業等届出書」を、2020年5月1日以前に提出していた
・都道府県税事務所へ開業日が2020年1月1日から3月31日までの「事業開始等申告書」を、2020年5月1日以前に提出していた
どれも受付印が押されていることが条件になります。
どちらも届け出していない人でも、届け出が必要な業種の人は、各業種別の届け出書類が有効な証拠として開業届けと同じように扱われる場合がありますので、つぎの章で詳しく説明します。
2020年1月~3月の間に創業した事業者に必要な書類は?
2020年1月~3月の間に創業した事業者が持続化給付金の給付を申請するには、つぎの4つの書類が必要となります。
①持続化給付金に係る収入等申立書(個人事業者等向け)
②通帳の写し
③本人確認書類
④個人事業の開業・廃業等届出書または事業開始等申告書
【ポイント】 ①持続化給付金に係る収入等申立書(個人事業者等向け)について、もっと詳しく
持続化給付金に係る収入等申立書は、2020年1月から対象月までの事業収入が記載されており、税理士による署名または記名押印を得たものであること。
また、事業収入は確定申告書第一表における「収入金額等」の事業欄に記載される額と同様の算定方法によって計算されたものである必要があります。
④個人事業の開業・廃業等届出書と一般的に「開業届」と呼ばれているもので、市区町村にある管轄の税務署に開業を届け出る書類のこととです。また、「事業開始等申告書」も同じ開業を届け出るものですが、こちらは管轄ではなく都道府県の税務署に届け出る書類になります。④は、どちらか1つがあればいいということです。
どちらも、開業日が2020年1月1日から3月31日までで、提出日が2020年5月1日以前のもの。税務署の受付印が押印されていることが条件になります。また、これらをe-TAXで申請していた場合も同様です。
【ポイント】 ④ ́開業日、所在地、代表者、業種、書類提出日の記載がある書類についてもっと詳しく
開業届などを出していない人でも、開業の際に各業界によって許可や届け出が必要となるものがあり、それらの書類をもって代替えできる場合があります。
経産省では、たとえば飲食店の場合、保健所の営業許可証など、公的機関が発行した書類が該当することを想定しています。④ ́を代替え書類として提出した場合、開業届などよりも時間はかかりますが、申請は可能です。
2019年1月~12月に収入がなかった人はどうしたらいいの?
2019年1月~12月に創業し、2019年は収入がなかったため確定申告をしなかった事業者はどうなるのでしょうか?
2020年1~3月は収入があった事業者のなかで、新型コロナウイルスの影響により収入が50%以上減少した事業者も、事業開始日が2019年1月~12月で、提出日が2020年4月1日以前の開業届か事業開始等申告書を提出している事業者は、給付対象となります。この特例はC-1と呼ばれています。
C-1の算定方法はつぎの通りです。
S=A÷M×6-B×6
S:給付額(上限100万円)
A:2020年1月から3月の間の事業収入の合計
M:2019年の事業収入が存在しないために本特例を用いる場合は3
B:2020新規開業対象月の月間事業収入
(算定例)
2019年はまったく売上がなかったものの、2020年1月から3月までは好調で総売上は90万円となった。しかし、新型コロナウイルスの影響で収入が減り、4月の売上は10万円しかなかったカフェの場合
A:2020年1月から3月の間の事業収入は、90万円だった
M:3
B:2020新規開業対象月の月間事業収入は4月で、10万円だった
90万円÷3×6-10万円×6=180万円-60万円=120万円
このカフェの給付額は上限の100万円となります。
つまり、2019年や2020年に開業届や許可証を提出せずに、無許可で営業している事業者は、給付対象とはならないということです。
4)持続化給付金の対象者チェックリスト
つぎのチェック項目のどれか1つにでも当てはまれば、持続化給付金の給付対象者となる可能性があります。
□ 2020年4月1日時点で、資本金の額又は出資の総額が10億円未満もしくは常時使用する従業員数が2,000人以下
□ 2019年以前から事業収入(売上)を得ており、今後も事業継続意思があること
□ 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在すること
□ 不給付要件に該当しないこと(詳しくは前記事参照)
□ 令和元年(2019)の確定申告を行っている事業者
□ 収入がなく令和元年(2019)の確定申告は行っていないが、開業届または事業開始等申告書を2019年1月1日~12月31日の開業日で、2020年4月1日以前に届け出ていた事業者、または保健所の営業許可証などの許可証を受け取っていた事業者
□ 2020年1月~3月創業で、開業届または事業開始等申告書を、2020年5月1日以前に提出していた事業者、または保健所の営業許可証などの許可証を受け取っていた事業者
※自分がどのケースに該当するのかよく分からないという人はつぎの問い合わせ先へ連絡してみましょう。
【持続化給付金の問い合わせ先】
持続化給付金事業 コールセンター
直通番号:0120-115-570(おかけ間違いに御注意ください)
IP電話専用回線:03-6831-0613
受付時間 8:30~19:00 7,8月(毎日) 9月から12月(土曜祝日除く日から金曜日)
5)まとめ
持続化給付金の給付対象者が拡大されたことで、フリーランスで働く人のなかでも給付対象となる人々がぐっと増えました。しっかり必要書類を準備して、持続化給付金を申請し、事業を継続するための資金として活用しましょう。