有限責任事業組合とは

LLP入門編
有限責任事業組合(LLP)とは

LLP 相談

1.LLPは、株式会社や有限会社などと並ぶ、「有限責任事業組合」という新たな事業体です。

2.具体的には 、

①構成員全員が有限責任で、
②損益や権限の分配が自由に決めることができるなど内部自治が徹底し、
③構成員課税の適用を受ける

という3つの特徴を兼ね備えています。

海外の類似の事業体であるLimited Liability Partnership(リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ)と同様、
通称でLLPと称されています。

3.この有限責任、内部自治、構成員課税の3つの効果によって、大企業同士、大企業と中小企業、産学連携、専門人材
同士などの様々な共同事業が促されると見込まれます。このため、構成員全員が無限責任の民法組合の特例として、
今般、「有限責任事業組合契約に関する法律」によって制度化されました

有限責任とは何か

1. 有限責任とは出資者(LLPの場合、組合員)が出資額の範囲までしか事業上の責任を負わないこととする制度です。
2. 有限責任により、出資者にかかる事業上のリスクが限定され、事業に取り組みやすくなります。

内部自治が徹底するとはどういうことか

1.内部自治とは組織の内部ルールが、法律によって詳細に定められているのではなく、出資者 (組合員)同士の合意に
より決定できることで、2つの意味があります。
第一に出資比率によらず、損益や権限の柔軟な分配ができるということ、
そして、第二に、取締役などの会社機関が強制されず内部組織が柔軟である、ということです。

柔軟な損益や権限の分配
出資者の間の損益や権限の配分は、出資者の労務や知的財産、ノウハウの提供などを反映して、
出資比率と異なる分配を行うことができる

内部組織の柔軟性
LLPのガバナンスは、出資者の間で柔軟に決めることができる取締役会や監査役など会社機関の設置は強制しない。
(参考)
○ 株式会社においては、原則として出資比率に応じた損益の分配や議決権の分配 が強制される。(株主平等原則)
○ 株式会社においては、株主が経営者を監視する取締役や監査役の設置が強制さ れる。

2.内部自治によって、共同事業を行うに際して重要な出資者(組合員)の動機付け(インセンティブ)を高めることが
容易になり、事業上のニーズに応じた柔軟な組織運営が可能となります。

構成員課税とは何か

1.構成員課税とは、構成員課税とは、組織段階では課税せず、出資者に直接課税する仕組みです。
2.構成員課税の効果としては、LLPの事業で利益が出たときには、LLP段階で法人課税は課されず、出資者への利益分配
に直接課税されることとなります。
3.また、LLPの事業で損失が出たときには、出資の価値を基礎として定められている一定額の範囲内で、出資者の他の所
得と損益通算することができます。

以上、「LLPに関する40の質問と40の答え」(経済産業省 産業組織課)より抜粋