こんばんは、海外の弁護士事務所や会計事務所には、LLP形態の組織になっているものがたくさんあります。今回の日本版LLP(有限責任事業組合)も、士業にはとてもありがたい制度なのですが、残念なことに認められないこととなります。弁護士、会計士、税理士、司法書士などが対象外になる見込みです。
あまりご存知ない方も多いとは思いますが、これらの専門家はクライアントに与えた損害について無限責任を負っています。また弁護士法人や監査法人、税理士法人も基本的に無限責任を負っていますので、有限責任組合たるLLP法を適用できないのも仕方のないところでしょうか。。
自分のミスであれば、無限責任を負うのも仕方ないですが、一緒に運営しているパートナーがミスした場合までも、無限連帯責任を負うのはたまらないということで、弁護士法人や監査法人では、指定社員制度というものにより、実際にクライアントを担当した社員に無限連帯責任を限定することが可能となっています。
余談ですが、PL法により製造物責任の対象となる場合なども、LLPの対象から外れる見込みです。私見ですが、士業のようにLLPを作れないのではなく、製造者責任はその構成員も連帯して負うような規定が設けられるのでは?と思います。
ではでは。
<追記補足です~> 5/17/2005
「PL法により製造物責任の対象となる場合なども、LLPの対象から外れる見込みです。」は、正確ではありませんでした。
経済産業省の担当者の方の説明では、LLP法第三条3
組合契約は、不当に債務を免れる目的でこれを濫用してはならない。
という条文の趣旨として、PL法を例に挙げていたというのが正確なところです。
すなわち、製造物責任を免れる目的でLLPを濫用してはならない。
ということで、具体的な濫用防止策は、現在お役所が作っている政令等が明らかになってからということです。