こんにちは、今日は法人構成員(法人株主)側の税金についてです。
(2)有限会社(資本金400万円で設立)
③法人C社及びD社
<6/20ブログ参照>
株式会社C社 (毎年法人税の課税所得が5000万円あり、今後も継続)
株式会社D社 (2年前から赤字続きで、現在繰越欠損金3000万円あり)
<6/27ブログ参照>
<資本金>
個人A氏 100万円 (25%)
個人B氏 100万円 (25%)
株式会社C社 100万円 (25%)
株式会社D社 100万円 (25%)
<事業貸付金>※貸付金利息は無視
株式会社C社 4900万円
株式会社D社 4700万円
配当金:1367万円(出資割合25%)
1.会社経理上
配当金が会社の銀行口座に入金があった時点で、
借方)普通預金 1367万円 貸方)受取配当金 1367万円
この仕訳の結果、利益が1367万円増えることとなります。
2.税法上の課税所得金額の計算
法人税法上、以下の特定株式等から生じる配当は、100%益金不算入(利益に入れなくてOK!)となります。
【特定株式等 】
配当を受け取る内国法人が他の内国法人の発行済株式総数(出資金額)の25%以上を、配当等の支払義務が確定する日(控除される負債利子の計算にあたっては、その事業年度終了の日)以前6か月以上引き続き保有している場合の株式等です。
今回、C社及びD社はそれぞれ25%を所有していますので、有限会社からの配当については、税金がかからないこととなります。
(※正確には借入金利息がC社、D社にあった場合、若干減額されますが、無視できる程度の金額だと思います。)
3.結論
P/L上 +1367万円(受取配当金)
税務上 △1367万円(受取配当等の益金不算入)
差引き 0万円
となり、法人構成員側での課税は受けないこととなります。また良いことに、会社決算書上は税金のかからない利益が計上できるので、金融機関等へ決算書を提出する際、見栄えが少し?!良くなります!
獲得した利益2500万円(全体の25%)のうち、有限会社で課税された法人税等を差し引いた1367万円がそのまま残りますので、実効税率は、45.3%ということになります。
難しいことをいうと、留保金課税というものも検討しないといけないのですが、試算に含めるのはやめておきます。但し、次のいづれかに該当しない法人の場合、同族会社の留保金課税を確認するようにしてください。法人税(留保金課税)が配当にかかってくる可能性があります。(本当はもう少し細かい規定があります。)
■設立後10年以内の新事業創出促進法の中小企業者(ベンチャー企業は大体該当してくるのでは?)
■自己資本比率が50%以下の中小法人(資本金1億円以下)(資本金よりも借入金等の負債が大きい企業)
【新事業創出促進法】第二条第三項
3 この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、工業、鉱業、運送業その他の業種(次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業又はサービス業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの並びに資本の額又は出資の総額が三千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
書き出すとキリがなく、また分かりにくいので、専門家の方以外は以下のよう理解しておくことをお薦めしま~す。
法人が、共同事業に出資(25%以上)して獲得した配当金は、一定の中小法人の場合、法人税はかからない。但し、”同族会社の留保金課税”には注意する。
明日は、...”8日目の補講”として、留保金課税の仕組みを説明しようかなと思います。一般の方に分かるように頑張ります!