こんばんは、さてやっと?!日本版LLPにて事業を行った場合のシュミレーションです。
<6/20ブログより>
【前提条件】
1.事業開始から1年間(1事業年度)に、1億円の利益を獲得する
2.事業参加者は次の通り
(1)個人A氏(毎年給与所得が800万円あり、今後も継続)
(2)個人B氏(現在無職、所得なし)
(3)株式会社C社 (毎年法人税の課税所得が5000万円あり、今後も継続)
(4)株式会社D社 (2年前から赤字続きで、現在繰越欠損金3000万円あり)
3.出資金額
(1)個人A氏 100万円
(2)個人B氏 100万円
(3)株式会社C社 5000万円
(4)株式会社D社 4800万円
4.分配割合(分配割合には合理性があるものとします。)
(1)個人A氏 25%
(2)個人B氏 25%
(3)株式会社C社 25%
(4)株式会社D社 25%
5.給与
常駐して業務を行う個人B氏に対して、上記4の他、月額50万円の固定給与を支給
(※損益分配とみなさないものとします。)
6.設立場所 東京都港区
7.社員数 10名(上記A~Dを除く)
8.事業内容 コンサルティングサービス
<消費税抜>
売上金額 2億2千万円(国内売上)
人件費 △4千万円
外注費 △3千万円(全額消費税対象)
設備他 △5千万円(全額消費税対象)
利益 1億円
さて本題に突入していきます!
(3)有限責任事業組合(日本版LLP)出資金総額1億円
まず考えないといけないのは、有限責任事業組合(日本版LLP)における課税ですが、これは言うまでもなく、パススルーのため、1億円に対して一切税金はかかりません。
その結果、各自へ25%(2500万円)が分配されることとなります。
①個人Aさんの場合
給与所得: 800万円
事業所得:2500万円(帳簿をつけ、青色申告を申請済み)
1.所得金額計算
給与所得 800万円―200万円(給与所得控除)=600万円
事業所得 2,500万円― 65万円(青色申告特別控除)=2,435万円
合計 3,035万円
2.所得控除
基礎控除 38万円
その他控除100万円(社会保険料控除など)
合計 138万円
3.課税所得金額
3,035万円―138万円=2,897万円
4.所得税計算
①税額算出 2,897万円X37%―249万円=8,228,900円
②定率減税 8,228,900円X10%>125,000円 ∴125,000円
③ ①―② = 8,103,900円
5.住民税計算
①税額算出 2,902万円X13%―31万円=3,462,600円
(基礎控除が33万円となり所得税計算より5万円課税所得が増加)
②定率減税 3,462,600円X7.5%>20,000円 ∴20,000円
③ ①―②+4,000円(均等割)=3,446,600円(百円未満切捨て)
6.事業税計算
①課税標準 2,435万円[事業所得]+65万円[青色申告特別控除なし]―290万円[事業主控除]=2210万円
②税額算出 2210万円X5%(事業税率)=1,105,000円
7.合計税負担額
8,103,900円+3,446,600円+1,105,000円=12,655,500円
7.比較対象税額計算(配当所得がなかったと仮定した場合)
①所得税 534,600円(算式省略)
②住民税 351,000円(算式省略) ※均等割4000円
③合計税負担 ①+②=885,600円
8.増加税負担額
12,655,500円(給与所得と事業所得の税額)―885,600円(給与所得のみの税額)=11,769,900円
9.結論
Aさんの場合、利益1億円に対して2500万円(25%)あった自分の取り分の内、最終的に手元に残ったのは、
2,500万円(利益分配金額)―11,769,900円(事業所得に対する所得税等)=13,230,100円 ということになります。
2500万円に対する実効税率を計算すると、実効税率なんと47.1%となってしまいます。
結構持っていかれますね...
今回のスタディで気になったのは、
☆やはり雑所得扱いとなる人もでてくるだろうな…(サラリーマンで経営判断にだけは関与しているような場合など)ということ
☆青色申告ができるよなぁ...(損益分配時点で仕訳を取り込むだけでも大丈夫??)
☆事業所得であれば、LLP組合事業の外側のコスト(例えば、構成員がLLP事業に役立てるために購入したPC代や、自宅の一部を作業で使用した場合の家賃等)も場合によっては経費計上できるよなぁ...
などです。このあたりは、今後フォローしていきますね。ではまた!