LLPには法人格がないので...
と、よく法人格がないというフレーズが登場します。
何となく、そうか、法人格がないんだと理解してしまっていますが、この法人格とは一体何でしょう。
LLPは個人でも法人(会社)でもありません。少々個性的な組合組織です。
まず法人とは、人(人間)以外で、人間に準するものとして、権利能力があるものとされています。
法人は、生物としての人ではありませんが、人格や権利の主体になり得るという点で人間に準じて扱われています。
法人と対比する場合、人間を「自然人」と称します。法律的には「権利や義務が帰属する主体」を「人格」といい、法人にも人格が認められているため、法人に帰属する人格を「法人格」といいます。
法人格 = 「法人」+「人格」ということですね。
LLP自体にはこの人格がなく、すなわち「権利や義務が帰属する主体」でないということとなります。
人格がなく、「権利や義務が帰属する主体」となり得ないLLPが第三者と契約を結ぶときには、契約書に記載される名称・肩書きは以下のようになります。
法人組合員がLLPを代表して契約を行う場合
(甲)ABC有限責任事業組合
組合員A社 職務執行者 東京太郎
個人組合員がLLPを代表して契約を行う場合
(甲)ABC有限責任事業組合
組合員Y 東京太郎
LLPとして契約自体を結びますので、この契約の効力は実際に名前を記載した組合員のみならず、他の組合員全員にもその権利や義務が及ぶこととなります。
※参照『LLPに関する40の質問と40の答え』P.33
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/faq.pdf
そして、法人格を有さないLLPで生じた利益はLLPでは課税されずに、各組合員に直接帰属することとなります。
構成員課税の前提となる法人格を理解すると、LLPが理解しやすくなるかもしれませんね。