日本版LLP(有限責任事業組合)を選択すべきか?!(6日目)

こんにちは、昨日の続きです。初めての方は1日目からご覧下さい~

(2)有限会社(資本金400万円で設立)

出資金額を1億円とすると、前日書いた株式会社と同じ問題点となりますので、省略します。そこで、無理やり資本金400万円、残り9600万円は資金提供(貸付金)として、有限会社を設立することとします。

<資本金>
  個人A氏 100万円 (25%)
  個人B氏 100万円 (25%)  
  株式会社C社 100万円 (25%)  
  株式会社D社 100万円 (25%)  
<事業貸付金>※貸付金利息は無視
  株式会社C社 4900万円
  株式会社D社 4700万円 

(1)獲得利益に対して法人税課税
(2)利益分配(配当)に対して、個人の場合課税される
   ※配当時、源泉所得税20%を天引きされますが、精算されます。

こととなります。”具体的”な説明をモットーとしてますので、試算してみることとします!!

① 当期利益 100,000,000円
② 課税所得 100,000,000円
③ 法人税   29,360,000円(800万円X22%+9200万円X30%)
④ 法人都民税
  (a) 所得割 6,077,500円(29,360,000円X20.7%)
  (b) 均等割 70,000円(資本金400万円:東京都)
  (c) (a)+(b)=6,147,500円
⑤ 法人事業税 9,790,200円(400万円X5.25%+400万円X7.665%+9200万円X10.08%)
⑥ ③+④+⑤  45,297,700円  
  ※税率45%(通常よく使われる実行税率40%とは、上記⑤事業税が翌年度の経費になるため、その効果を考慮した場合の税率のことです。)
⑦ 可処分利益 ①―⑥=54,702,300円

今回は資本金400万円のため問題ありませんが、資本金1000万円以上の場合、設立初年度から消費税がかかってしまい、

⑧ 消費税額  7,000,000円(算式省略)が必要となります。

逆に言うと、資本金1000万円未満であれば、この700万円を払わなくてすむこととなります。そして収入金額に加算(税抜処理の場合)することとなります。※今回の仮定計算でも収入に加算する必要があるのですが、ややこしくなるので、利益1億円の中に消費税の”益税”部分700万円を含むものとします。

まとめますと

有限会社で1事業年度に1億円利益が生じると、税金が4530万円かかって、税金を支払うと手元には5470万円しか残らないということです。
さてこの残ったお金を各25%づつ配当として分配しますので、

【配当金】
  (1)個人A氏 1367万円
  (2)個人B氏 1367万円 
  (3)株式会社C社 1367万円 
  (4)株式会社D社 1367万円 

となります。(端数切捨)

また、6/20のブログ前提条件にて

(1)個人A氏(毎年給与所得が800万円あり、今後も継続)
(2)個人B氏(現在無職、所得なし)
(3)株式会社C社 (毎年法人税の課税所得が5000万円あり、今後も継続)
(4)株式会社D社 (2年前から赤字続きで、現在繰越欠損金3000万円あり)

とありましたので、これを元に構成員側での税金を計算してみたいと思います。

①個人Aさん

給与所得: 800万円
配当所得:1367万円(実際は源泉徴収20%が天引きされているのですが、最終的に精算されるので、ここでは、源泉徴収ゼロで計算します。)

1.所得金額計算

給与所得 800万円―200万円(給与所得控除)=600万円
配当所得 1367万円 
合計   1967万円

2.所得控除

基礎控除  38万円
その他控除100万円(社会保険料控除など)
合計   138万円

3.課税所得金額

1967万円―138万円=1,829万円

4.所得税計算

①税額算出 1,829万円X37%―249万円=4,277,300円
②配当控除 (1000万円―600万円)X10%+(1967万円-1000万円)X5%=883,500円
③ ①―② = 3,393,800円
④定率減税 3,393,800円X10%>125,000円 ∴125,000円
⑤ ③―④ = 3,268,800円

5.住民税計算

①税額算出 1,834万円X13%―31万円=2,074,200円
(基礎控除が33万円となり所得税計算より5万円課税所得が増加)
②配当控除 (1000万円―600万円)X2.8%+(1967万円-1000万円)X1.4%=247,380円
③ ①―② = 1,826,820円
④定率減税 1,826,820円X7.5%>20,000円 ∴20,000円
⑤ ③―④+4,000円(均等割)=1,810,800円(百円未満切捨て) 

6.合計税負担額

3,268,800円+1,810,800円=5,079,600円

7.比較対象税額計算(配当所得がなかったと仮定した場合)

①所得税 534,600円(算式省略)
②住民税 351,000円(算式省略) ※均等割4000円
③合計税負担 ①+②=885,600円

8.増加税負担額

5,079,600円(給与所得と配当所得の税額)―885,600円(給与所得のみの税額)=4,194,000円

9.結論(長かった~)

Aさんの場合、利益1億円に対して2500万円(25%)あった自分の取り分の内、最終的に手元に残ったのは、

13,670,000円(配当所得金額)―4,194,000円(配当所得に対する所得税)=9,476,000円 ということになります。

2500万円に対する実効税率を計算すると、実効税率なんと62.1%となってしまいます。

疲れましたね~!? ではまた明日!