法人組合員と個人組合員が混在する場合の留意点(日本版LLP[有限責任事業組合])

有限責任事業組合にて、1事業年度の損益を計算し、組合員がその分配を受ける場合、その損益とは税務会計上、正しい計算方法によって計算されたものと言い切れるのでしょうか?例題を挙げてみます。

フライデーLLP
[構成員]
法人組合員 A社 (分配比率50%)
個人組合員 Bさん(分配比率50%)
※A社経理部がフライデーLLPの経理業務を担当

[第一期]平成18年4月1日~平成19年3月31日

売  上  1000万円

経  費   500万円(減価償却費以外)
減価償却費  219万円

利  益   281万円

※減価償却計算
固定資産:パソコン500万円(LLP設立日に取得)
償却耐用年数:4年
償却方法:定率法 0.438
500万円×0.438×12ヶ月/12=219万円
 <参考>~仮に定額法で償却した場合~
償却方法:定額法 0.250
500万円×0.9(残存価額)×0.250×12ヶ月/12=1,125,000円

個人組合員のBさんのもとに、第1事業年度の損益分配関する資料として、上記損益の50%(分配比率)が平成19年5月にレポートされてきたとしましょう。

Bさんは、平成20年3月に、平成19年分個人所得税確定申告を行い、
事業所得 281万円×50%=1,405,000円を申告したとします。さて、何が問題でしょうか?

問題は減価償却方法にあります。税務上、減価償却方法を届け出ない限り、個人の場合は定額法償却が税務上認められる、減価償却の方法となります。また一方法人の場合は、定率法が法定減価償却方法となります。(細かい規定は色々とありますが、ここではパソコンの償却という点でのみ、考えたいと思います。)

すなわち、Bさんが第1事業年度の分配金額として、認識しなければならなかったのは、

売  上  1000万円

経  費   500万円(減価償却費以外)
減価償却費  112.5万円

利  益   387.5万円

ということになります。
結果、所得金額の申告漏れ(106.5万円)が生じてしまうこととなります。

対処法としては、

①LLPの損益報告上、定額法償却にて計算した場合に償却超過額106.5万円が生じるということを記載する
②個人組合員が、減価償却方法を定率法にする旨、予め届け出て法人組合員と同じ償却方法が適用できるようにしておく。
http://www.nta.go.jp/category/yousiki/syotoku/annai/18.htm

まだ書式を確認できていないのですが、「所得税 有限責任事業組合に係る組合員所得に関する計算書 別表第七(二)」にて、もし減価償却超過額が発生した場合は、所得の加算調整を行うことになると思います。

以上で~す。

さぁ~サッカー見に帰ろうっと♪