日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員の給与(その4)

【4】ついに最終回!青山さんの所得は?!

日本版LLP(有限責任事業組合)の個人組合員で業務執行を行う青山さんに対する毎月の支給金額は、どのようになるのでしょうか?事業所得又は給与所得?

前回紹介した裁判事例の中で、次のようなことが書かれていました。

【事業所得】
①自己の計算と危険において独立して営まれ
②営利性、有償性を有し、
③反復継続して遂行する意思と
④社会的地位とが客観的に認められる業務 から生ずる所得をいい、

これに対し、

【給与所得】
①雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。
とりわけ、給与支給者との関係において何らかの
②空間的、時間的な拘束を受け、
③継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。

これらのことを、念頭に考えると、まず青山さんが月額50万円保証される見返りとして、

例えば、

①店舗での現場指揮監督義務を負い
②毎日スタッフ同様にタイムカードを押し(押さなくてもいいでしょが、前回の裁判事例の場合は押していました)
③勤務時間が定められ、
④同様の作業を、もし別の人に行わせるとしても同等の人件費が必要

のような状況があれば、給与所得として取り扱ってもいいのではないでしょうか?
(もちろん責任は負いかねますので、あくまでも自己責任で実行して下さいネ!)

有限責任事業組合は個人(又は法人)の集合体で、課税上個々の組合員(構成員)単位で考えるものだとしても、
組合自体が法的な契約当事者になり得ることから、組合と組合員の間に結ばれる雇用契約は成立すると私は考えます。(あくまでも私見ですよ~)

すなわち、アセをかいた分は、損益の分配の一部(労務出資)と見るのではなく、労務の対価として組合の必要経費として考えてよいと思います。

LLP法第11条(組合員の出資)
組合員は、金銭その他の財産のみをもって出資の目的とすることができる。

条文の中でも、金銭出資のみを認めていて、暗に労務出資を否定しています。
(※その他の財産とは、一定の現物出資のこと)

しかしながら、そのアセの値段を世間相場から逸脱して、高額に設定するとまず税務署から事業所得認定の指摘が入るものと思います。
世間相場ってなんじゃ~と言われるかもしれませんが、同業他社の同じようなポストの人の給与がいくらくらいかということで、調べれば大体分かると思います。

★ご注意★
今後のLLP法の政省令や税法、通達等で、私の考え方が通用しなくなることも考えられますので、その点ご注意下さい。もちろん、当ブログでもフォローアップはしっかりと行っていこうと思います。

では、また~