日本版LLP(有限責任事業組合)を選択すべきか?!(最終回)

こんばんは、「日本版LLP(有限責任事業組合)を選択すべきか?!」というタイトルで長々と書いてきましたが、結局今回のみ読んでもらっても良いかなぁ…なんて思います(笑)

1億円の資金投下により、1年間で1億円の利益を生み出すビジネスを共同で行う場合、どのような組織形態がふさわしいのかを、具体的な税計算を行いながら検討してきました。内部自治、有限責任も重要な要素だと思いますが、結局キャッシュフローがどうになるのかが、最重要ポイントだと思っています。

共同事業を行う個人及び法人の手元にいくら残るのかというと、以下のような結果となっています。(前提条件:各自25%の利益分配(1億円の25%なので、2,500万円)を得る権利を持っている)

★以下、前回までに検証してきたケーススタディの場合の結果ですので、ご留意願います。

【有限会社を設立して、株主配当を行う場合】

①個人Aさん      実効税率 62.1%
②個人Bさん      実効税率 60.3%
③法人C社及び法人D社 実効税率 45.3%(留保金課税考慮外)

【有限責任事業組合を設立して、構成員に利益分配を行う場合】

①個人Aさん      実効税率 47.1%
②個人Bさん      実効税率 45.4%
③法人C社       実効税率 46.3%(留保金課税有ると49.8%)
④法人D社       実効税率  0.0%(留保金課税有ると 4.97%)
※D社は過去から蓄積した赤字があるため極端に税率が低くなっています。

上記の結果、各自の手元には、2500万円―(1―実効税率)=手取金額 が残る事となります。

以上から、有限責任事業組合であれば、個人法人を問わず安定的な税負担になることが分かります。また今回は年間分配利益が各2500万円と高額設定でしたが、これが数百万円程度であれば、所得税率は超過累進税率(所得が低いと、税率も低い)のため、さらに税負担は小さくなります。
※但し、所得税は個人個人の他の所得金額の影響を受けますので、その点ご注意下さい。

”利益を分配する”前提にたつと、法人の場合、配当となるため個人株主は絶対的に不利な税計算となってしまいます。そのような観点からも、有限責任事業組合は優れた特性を持っていると言えます。

”共同事業による成果分配”が前提のプロジェクトの場合は、是非、日本版LLP(有限責任事業組合)を検討してみて下さい!

次回からは、心機一転新しいテーマについて書いていこうと思います。もちろんLLPの話題です!!
(やっぱり、あれですよね~...)